子育て世帯の支出と収入~30代・40代にかけて貯蓄し、50代で赤字になるのが平均的家計に~
子育てをしていると教育費など多くの支出がかさみます。日本の子育て世帯のみなさんはどのような内容の支出をどの程度行っているのでしょうか。
今回は、総務省「全戸国消費実態調査」をもとに、4人家族(子どもが2人)の世帯について、夫の年齢別(世帯主年齢)にどのような項目にどの程度の費用をかけているか分析してみます。
子どもが2人の世帯(4人家族)の支出額
子どもが2人の世帯(4人家族)の支出額をみると、下記のようになります。
4人家族だと、30代で月28万円、40代で月32万円、50代で月40万円程度出費しています。家庭の収入も年功序列で徐々に上昇するとはいえ、多くの家庭で子供が高校生以上になる50代での支出の増加がかなり大きいですね。
ちなみに、世帯主年齢階級別の収入は以下のようになります。
支出との差額は預貯金や住宅ローンなどが含まれます。若年世帯は収入に比して支出が少なくなっています。30代では収入の方が6.5万円高く、40代では8.2万円高くなっています。住宅ローンも平均で4万円程度かかっていますから、そのすべてが貯蓄となるわけではありませんが、40代では世帯の平均で4万円程度貯蓄に回していると思われます。
一方、50代をみると、2.1万円しか差がありません。これは住宅ローンを差っ引けばほぼ赤字会計になります。このため、30代や40代でお金をためつつ、子どもが大学生くらいになる50代に入ったときに貯蓄を切り崩すという生活パターンが平均的な家計像となりそうです。
40代後半から50代前半にかけての支出が急増する時期までに貯蓄を増やしておかないと子供の教育費が賄えなくなる可能性がありそうです。
どこにお金がかかっているのか
父親の年齢が30代、40代、50代と上がるにつれて、支出項目別に世帯の支出がどのように変化していくのか見ていきましょう。
まずは30代から
30代の支出はまだ子供が未就学児であったり小さいことや、そもそも稼ぎが少ないことから、全体的に支出が少なめです。
項目として大きいのは食料や交通通信費です。世帯の年収がそこまでたかくないことから、エンゲル係数が大きくなることがうかがえます。また、交通通信費の高さは意外かもしれませんが、おそらく通信費が高いのだと思われます。
夫婦ともにスマートフォンをもっていればそれだけで2万円近く料金がかかってきますし、自宅のネット環境を整備するとそれ以外にも基本料が毎月かかります。テレビでNHKをみたり有料番組を見たりするとさらにアドオンでかかります。現代においてネット環境がないというのは考えられないので、通信費はどの世帯でもこの程度はかかってくるのでしょう。現在、総務省が携帯料金を引き下げるよう勧告していますが、この数値をみると、やはり政府としても対応が必要であることが示唆されます。
続いて40代をみます。
30代のころと大きく変わりませんが、食費が増えているほか、教育費もやや増加します。
40代になれば長子が中学生や高校生になっている世帯が多いでしょうから、塾代とか、場合によっては私立に入れたりすれば教育費が大幅に上昇します。しかしながら、30代でそこまで大きな上昇がみられないことを踏まえると、特に中学ではまだ私立に通う子どもは多数派ではないことや、近年政府が導入している授業料無償化などの効果が表れているものともみれますね。
ちなみに住居費は若干下がっています。これは持ち家世帯が増えるからでしょう。総務省の家計関係の調査は持ち家だと住居費が0になるので(住宅ローンは住居費に入っていない)、賃貸で借りている少数派の人の賃貸料が計上されるという形になりますので、平均の住居費が減少してしまいます。
50代は支出が大きく増加します。
増加が顕著なのはやはり教育費です。50代にもなれば、子どもは専門学校生や大学生、大学院生になっている世帯が多数だと思います。ただ、ここでは4人世帯を前提としているので、子どもが独立した場合は統計から脱落してしまうので、50代前半で子どもが大学生くらいの世帯や、50代前半や後半で比較的高齢で出産した方が混ざっている感じなんだと思います。
教育費は8万円弱かかります。大学生になれば、よほど優秀でない限り私立大学や私立専門学校に通うことになりますから、やはり出費は大きく増えてしまいます。年功序列で給与が急速に増える方は別として、支出のピークに向けてしっかりと貯蓄しておく必要がありますね。
また、そのほかの消費支出が増えています。これは諸雑費や仕送りなどですが、こどもの小遣いなどがかかるのでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。上記の平均支出を参考に、ご自身の支出のどこが大きくてどこが小さいのか、分析していただければと思います。